ドリームキャスト(ア行)


エターナルアルカディア(セガ・エンタープライゼス/オーバーワークス 2000年10月5日発売 6,800円(通常版)/9,800円(LIMITED BOX版)/1,000円(@barai版))
澄み渡る大空を舞台に、主人公ヴァイスが活躍する大作冒険活劇RPG。開発はオーバーワークス。『ファンタシースター』と同じスタッフが多くかかわっているというのも個人的に大きなポイント。
物語の舞台は、限りなく広がる大空の大航海時代。その各地に、空に浮かぶ大陸や島々が点在し、そこで人々は生活を営んでいる。彼らの足は空飛ぶ船。この船で空を行き来し、交易も行われている。その商船を狙う、空賊なるものたちも存在する。彼らは「黒の空賊」と呼ばれ恐れられている。逆に、商船のような非武装船は襲わず、武力を誇示する帝国軍艦だけを狙う義賊「青の空賊」と呼ばれるものたちがいる。主人公の少年ヴァイスも、その「青の空賊」だ。
好奇心旺盛な若き空賊・ヴァイスが、帝国に襲われていたファイナという名の少女を助け出すところから、物語は始まる。ストーリーは今時珍しい直球勝負な冒険活劇モノ。キャラたちの行動や台詞も見ていて清々しいものがある。
ゲーム画面は全て3Dポリゴンで構成され、地上マップではヴァイスを操作し、空の移動では船を操る事になる。キャラの表示が大きめな為か、マップ空間がとても広く感じる。街や村、ダンジョンも細かい部分まで作り込まれていて画面も美しい。登場人物も実に表情が豊かで活き活きとしている。空のフィールドでは、古代遺跡等の「発見物」なる要素があり、世界中を旅しながらそれらを発見するのも楽しい。他にも、自分の船を改造したり、本拠地を作ったり、船のクルーを集めたりと、遊びの要素は多い。イベントの演出も凝っていて、ムービーは一切使用せず全てポリゴンキャラが演技をするイベントシーンが良い感じ。優れたカメラワークもあって見ていて楽しい。ぷるぷるぱっくの使い方も上手く、装着していればより楽しめる。音楽も素晴らしい。
パーティは最大4人構成で、敵とエンカウントすると戦闘に突入。ターン制のオーソドックスなスタイル。ひとつ特徴的なのが、「ガッツ」システム。パーティ全員共有の行動力。必殺技や魔法を使う時に、このガッツなるポイントを消費する。コマンドによる回復も可能で、このガッツの使い方次第で戦況が左右する……というほど大袈裟なものでもない。これとは別に、船を操作して戦う砲撃戦闘も用意されている。技のグラフィック・演出も派手で、敵モンスターデザインも個性的で見ていて楽しいのだが、エンカウント率が妙に高く、戦闘に入るまでのロード時間も結構長いのが痛い。戦闘のテンポも悪く、あまり面白いとはいえない。
公式サイト(現在は閉鎖)からファイルをダウンロードしてプレイするとオマケ要素がオープンになるというフィーチャーも。これでボスや武器が増えたりする。これが無くても充分楽しめるが、ダウンロードしないと、ファイナの武器でもあるキュピルを最強段階にパワーアップできないという問題も……。おまけにコピー不可ファイルなのでバックアップも出来ないし……。
細かな不満点もいくつかありますが、それを補って余りある魅力的な作品に仕上がっているかと。プレイ時間がちと長めですが。目指せ空賊王!